ブレス・プレート
更新日2003年11月24日
ブレス・プレートは、胸を覆う板だけという単純な鎧で、いわゆる胸当てというやつです。
材質は、革から鋼鉄まで、時代によってまちまちでした。
どんなに強固で全身を覆う鎧が開発されても、ブレス・プレートは使われましたが、
その全盛期は、古代ローマの時代です。

ブレス・プレートが多用された理由は、いくつかあります。
まず、当時は鎧が高価だったため、鎧一式を兵士たちに与えることはできず、
盾と兜、そしてブレス・プレートによって武装するという‘応急処置’を施したためです。
当時の金属加工技術では、槍の刺突攻撃を防ぎきることも困難だったわけですから、
兵士たちのお守り的な役割もあったと言えます。

ブレス・プレートが使われ続けた理由は、先にも述べた通り、安価であることですが、
さらに恐ろしい事実が背景に存在します。
いつの時代にも、上半身のみを覆う胴鎧(ハーフ・アーマーの項目で紹介します)は存在したのですが、
時の権力者は、臨時徴兵された‘奴隷兵士’たちにはこの程度の装備しか与えなかったのです。
これは、彼ら奴隷兵士が犯罪者であったり、敗戦国の国民であること、などが理由となっていますが、
正規の歴史資料に、こういったことは記されてはいないのです。
これらの事実から、時代の暗黒をわずかに窺い知ることができます。

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